ミャンマー避難民支援
ミャンマー避難民の現状
2021年2月1日、突如、ミャンマー国軍(以下、国軍)がクーデターを起こし、アウン・サン・スー・チー氏を中心とする民主政府から政権を奪取しました。国軍のクーデターの理由は、選挙で不正があった、というものでした。その荒唐無稽な根拠でのクーデターに対して、抵抗した市民を殺害しました。現在(2024年5月)までに、国軍の攻撃などによる市民の死者数は推定で5000人余りとされています。
アウン・サン・スー・チー氏は、クーデター後、首都ネピドーにある刑務所に収監されました。その後は別の刑務所に移したと国軍は発表していますが、それがどこかは公表されていません。
クーデターに伴い抵抗した市民の一部は、少数民族組織の元へと走り、少数民族組織によって軍事訓練を受けたうえで、人民防衛軍(PDF:People Defence Force)を名乗りました。彼らは、各地で国軍に対する攻撃を続けています。そのため、国軍は、少数民族組織が支配している地域で、PDFや少数民族組織を狙い撃ちにした空爆を繰り返しています。
このようにして、ミャンマー国内は、内戦状態になってしまいました。そのため、国軍による攻撃から身を守るために、多くの人々が、ミャンマーの山間部や、タイとの国境を越えてタイ側に逃げ込みました。その数は、はっきりとしませんが、タイ側に逃げた避難民は20万人を超えているとみられています。タイ政府は2024年1月に、避難民をミャンマー側に送り返しましたが、依然としてミャンマーとタイとの国境沿いに、多くの避難民がキャンプ作って滞在しています。
こうした現状が好転していく見込みは今のところ見当たりません。国軍はロシアや中国との関係を深めており、軍事的支援も受けているようです。しかし、平野部はともかく山間部での戦闘には不慣れであり、航空機による空爆をするのが精一杯です。一方のPDFや少数民族側は、国軍を一掃できるほどの軍事力を持ち合わせていません。
和平を求める動きもありますが、複雑に入り組んだミャンマー国内の政情から、大きな動きになる見込みもありません。そのため、混沌とした現状は、当分の間続いていくものと思われます。
ミャンマー避難民キャンプの現状
ミャンマー避難民キャンプは、ミャンマー国内の山間部、そしてミャンマーとタイとの国境を挟んだ両側に設営されています。それらの多くは、避難民が自ら竹やバナナの葉などで建設した仮設の住居です。したがって、電気、水道、ガスなどのライフラインはありません。
この地域は、世界でも有数の豪雨地帯ですから、雨季になると、キャンプの中は、川なのか道なのか見分けもつかないほどになります。 またマラリア、デング熱、アメーバ赤痢そして疥癬などの伝染病が、避難民を苦しめます。十分な医薬品も食糧もなく、子供たちの栄養失調が懸念されています。
そのような劣悪な環境ですが、避難民たちは仮設の学校を作り、子供たちは空爆を避けながら、森の中で学習を続けています。
国際社会からの支援も続けられています。しかし、キャンプが山間部に広がっていることから、十分なものとは言えません。しかも、常に国軍の空爆の危険性があります。安全に物資を輸送するルートは、タイ側から国境を越えて、ミャンマー側に送ることですが、ほとんどの地域がバイクや徒歩での輸送になります。しかも、雨季ではバイクによる輸送も危険になります。
それでも、細々ですが、支援は続けられています。現地の避難民からは、どんなに少量であっても、継続した支援が求められています。
問題点
衛生施設や清潔な水の不足が深刻です。農村部ではトイレが普及しておらず、水質汚染が問題となっています。そして経済の不安定さと政治的混乱でそのため教育の機会が子供たちから奪われてしまっています。。特に若者や農村地域の住民は就業機会が少なくなってしまっています。
JACEの活動
JACEでは、ミャンマー避難民支援活動を展開している特定非営利活動法人アジア児童福祉会との連携を計画しています。
同団体は、ミャンマーとタイとの国境沿いに展開している避難民キャンプでの、児童の教育、健康、衛生環境の改善プロジェクトを進めています。
学校教材の提供
ミャンマーは政治的不安定と紛争の影響で多くの子どもが教育を受けられず、
特に地方や紛争地域での学校設備や教材が不足しています。この国では特に地方部や紛争が激しい地域において、学校のインフラストラクチャーや教材が著しく不足しています。これにより、教育の機会が限られている子どもたちは、将来的なキャリアの選択肢や生活の質向上のための基本的な教育を受けることが困難となっています。さらに、経済的な困難や家庭の事情から、学校に通えない子どもも多く存在し、教育格差が広がっています。
支援物資の運搬
ミャンマーへの支援物資の運搬は、国際的な支援機関やNGOが中心となって行われています。物資には教科書、文房具、食糧、医薬品などが含まれ、特に教育現場や医療機関への提供が急がれています。紛争地域へのアクセスは困難ですが、現地パートナーとの協力で効率的な配送が試みられています。
この支援活動は、多くの子どもたちや家族の生活改善に寄与しています。
学校建設/再建工事
ミャンマーでは、政治的な混乱と紛争の影響で多くの学校が破壊されたり、老朽化しています。学校建設や再建工事を通じて教育環境の改善に取り組んでいます。これには新しい教室の建設、既存の施設の修復、そしてトイレや給水施設の設置が含まれます。これらのプロジェクトは、子どもたちに安全で適切な学びの場を提供するために重要です。
衛生問題‐トイレ問題
ミャンマーでは、衛生問題、特にトイレの不足が深刻な課題となっています。
多くの学校や地域で適切なトイレ設備が整っておらず、子どもたちの健康や衛生状態に悪影響を及ぼしています。トイレの建設や衛生教育を通じてこの問題に取り組んでいます。これにより、感染症の予防や健康状態の改善が期待されています。
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